未来の料理人育成!調理師専門学校の魅力と選び方

授業の進み方についていけなかった製菓専門学校時代を打ち明けるパティシエの本音

入学して数か月で置いていかれたと感じた理由

いまは店で働くあるパティシエは、製菓専門学校に入って数か月がたった頃、授業の進み方にまったくついていけなくなっていたと打ち明けます。同級生が次々に作品を仕上げる中で、自分だけが工程の途中で手を止める場面が何度もあったそうです。

つまずきの始まりは、計量や下準備といった基本の作業に思いのほか時間がかかり、実演の大事な部分を見逃していたことでした。手元の作業に追われるあいだに説明が先へ進み、気づくと次の工程が何なのかわからなくなっていたと言います。

入学前にお菓子づくりの経験がほとんどなかったことも、進み方の速さを重く感じた大きな理由の一つでした。家で何度も焼き菓子を作ってきた同級生は道具の扱いに慣れていて、同じ説明を聞いても理解の速さに差が出てしまうのは避けられなかったそうです。

座学の授業でも、衛生の決まりや材料の性質など、覚えるべき言葉が毎日のように増えていき、復習が追いつかなかったと振り返っています。実習と座学の両方で遅れを感じると、どこから手をつけるべきかわからず、気持ちばかりが焦っていきました。

班での作業では、遅れている自分に合わせて仲間が待ってくれることが申し訳なく、積極的に手を出せなくなっていった時期もあったそうです。その遠慮がさらに経験の機会を減らし、結果として技術の差が広がっていくという悪い流れに陥っていたと話します。

いま振り返ると、ついていけないと感じた原因の多くは、才能の差ではなく、慣れと準備の差にすぎなかったと考えているそうです。最初の数か月は誰にとっても戸惑いの多い時期であり、その時点の差だけで向き不向きを決めつける必要はまったくありません。

同じ悩みを抱えていた同級生が実は何人もいたことを、ずっと後になってから知ったというのも、本人にとって印象深い出来事でした。自分だけが遅れていると思い込んでいた時間を思い出すと、もっと早く誰かに話せばよかったと、いまは素直に感じているそうです。

誰にも言えなかった焦りと立て直しのきっかけ

授業についていけないことを、当時は家族にも同級生にも言えず、毎日の実習に向かう足取りが重くなっていたと打ち明けています。追いつけない自分を情けなく感じ、学費を出してくれた家族への申し訳なさが、さらに口を重くしていたそうです。

このまま続けても無駄なのではないかと考え、学校をやめることまで頭をよぎった夜が何度かあったとも話してくれました。それでも朝になると実習室に向かえたのは、入学前に抱いていたお菓子を作る仕事への憧れが、まだ心の奥に残っていたからだと言います。

転機になったのは、実習のあとで片づけをしていたときに、担任の先生から最近の様子はどうかと何気なく声をかけられたことでした。思わず遅れを打ち明けると、先生は驚くこともなく、同じ悩みを抱える学生は毎年いると穏やかに話してくれたそうです。

先生はその場で、どの工程が特に苦手なのかを一緒に確かめ、次の実習で意識すべき点を一つだけに絞って教えてくれました。すべてを一度に取り戻そうとしなくてよいと言われたことで、張り詰めていた気持ちが少しほどけ、前を向けるようになったと振り返ります。

同じ班の仲間にも思い切って事情を話してみると、自分も実は不安だったと打ち明けてくれる人が現れ、互いに教え合う関係が生まれました。得意な工程を教え、苦手な工程を教わるやりとりを重ねるうちに、班での居心地もずいぶん良くなったそうです。

家族にも正直に話したところ、責められるどころか、無理をしすぎないようにと励まされ、心が軽くなったと言います。一人で抱えこんでいた時間が長かった分、打ち明けたあとの安心感は大きく、そこから学びに向き合う姿勢が目に見えて変わっていきました。

弱さを打ち明けることは勇気がいりますが、周りの人はこちらが思うよりずっと温かく受け止めてくれるものだと、本人は実感を込めて語ります。製菓の学びは一人で完結するものではなく、助けを求める力もまた、身につけるべき大切な技術の一つだと感じたそうです。

遅れを取り戻すまでに続けた小さな習慣

気持ちを立て直したあとに始めたのは、その日の実習で一番迷った工程を一つだけ選び、帰宅後に手順を書き出して確かめるという習慣でした。すべてを復習しようとすると続かないため、一日に一つだけと決めたことが、無理なく続けられた理由だと話しています。

実習の前には教科書の該当する箇所を読み、材料と工程の流れをあらかじめ頭に入れておくようにしたそうです。先に全体の流れを知っておくと、実演を見ている最中に今どこにいるのかがわかるため、説明を聞き逃すことが目に見えて減っていきました。

計量に時間がかかっていた弱点については、家で砂糖や粉を使って何度も量る練習を重ね、手際を少しずつ上げていきました。下準備が早く終わるようになると、実演をしっかり見られる時間が増え、その分だけ理解も深まる良い流れが生まれたそうです。

わからない言葉は小さな手帳に書き留め、通学の電車の中で繰り返し見返すことで、座学の遅れも少しずつ取り戻していきました。短い時間でも毎日続けるうちに、授業で耳にする言葉が自然と理解できるようになり、座学への苦手意識も薄れていったと言います。

週に一度は自分の作品の写真を並べて見比べ、焼き色や形がどう変わってきたかを確かめる時間を持つようにしたそうです。少しずつでも上達している跡が目に見えると自信がわき、遅れているという思い込みから抜け出す大きな助けになったと振り返っています。

こうした習慣を半年ほど続けた頃には、授業の進み方に置いていかれる感覚はほとんどなくなり、班の中で頼られる場面も増えていました。最初の遅れがあったからこそ、基本を人一倍丁寧に確かめる癖がつき、それが現場での強みになっているそうです。

いま後輩に伝えたいのは、遅れを感じたときこそ小さな習慣を一つ始め、それを途切れさせずに続けてほしいということだと言います。一日の積み重ねは目立たなくても確実に力になり、気づけば周りと同じ場所に立っている自分に出会えるはずだと語ってくれました。

まとめ

製菓専門学校で授業の進み方についていけないと感じる経験は、決して珍しいものではなく、多くの先輩が一度は通ってきた道だと言えます。最初の差の多くは才能ではなく慣れと準備の違いから生まれるため、その時点で自分の向き不向きを決めつける必要はありません。

遅れを一人で抱えこむと気持ちがどんどん重くなり、学びの機会そのものを遠ざけてしまうという悪い流れに陥りがちです。先生や仲間、家族に思い切って打ち明けてみれば、思った以上に温かく受け止めてもらえ、立て直しの糸口が見えてくるでしょう。

立て直しには、一日に一つだけ迷った工程を確かめる、実習の前に流れを読んでおくといった、無理なく続けられる小さな習慣が役立ちます。計量や言葉の暗記など弱点を一つずつ補い、上達の跡を目で確かめることが、焦りを自信へと変えていく力になります。

遅れを経験した人ほど基本を丁寧に確かめる癖が身につき、それが将来パティシエとして働くときの確かな強みになることもあります。お菓子づくりの道はまだ始まったばかりなので、つまずいた自分を責めすぎず、小さな一歩を今日から積み重ねていってください。