苦手な工程と過ごした時間ほど後から効いてくる製菓専門学校での学びの逆転
苦手だと感じる工程が生まれてくる仕組み
製菓専門学校で実習を重ねていくと、どうしても手が進まない工程がいくつか現れてくることになります。得意な工程が見つかってくるのと同じ時期に、苦手な工程もはっきりと姿を見せてくることになります。
苦手が生まれる理由の多くは、才能の有無ではなく、触れた回数の少なさに結びついていると言われます。経験の浅い工程では判断の手がかりを持てないため、実際より難しく感じてしまう傾向があります。
最初に大きく失敗した記憶が残っていると、その工程へ向かうときの気持ちが重くなってしまいます。苦い記憶が身構えを生み、体が固くなってしまうことで、さらに思うように動けなくなってしまいます。
班の中で誰かが得意にしている工程は、任せるほうが早いという判断から、自分で触れる機会が減ります。効率だけを見ればそれで済みますが、触れない工程は苦手のまま残り続けることになってしまいます。
手の大きさや力の入り方といった体の条件が、特定の工程との相性を左右している場合も確かにあります。この場合は道具や姿勢を変えてみることで、感じ方が大きく変わってくれることが少なくありません。
時間に追われる場面が続くと、確かめながら進める余裕がなくなり、苦手な感覚が強まってしまいます。落ち着いて取り組める時間を確保できるかどうかも、苦手の生まれ方に関わってくることになります。
周りの人と比べてしまう気持ちも、苦手だという意識を強くしてしまう原因のひとつになっています。同じ工程で滑らかに動く人を見ると、自分にはできないという思い込みが育ってしまいがちになります。
つまり苦手の多くは、経験と記憶と環境の組み合わせによって作られていると言うことができます。作られたものであるなら、条件を変えていくことで少しずつほどいていけるということにもなります。
避けたくなる工程ほど後になって効いてくる理由
避けたくなる工程ほど後から効いてくるというのは、学びを重ねた人の多くが口にしている実感です。苦手と向き合った時間には、得意な工程では得られない考えるという作業が詰め込まれているためです。
得意な工程は感覚のままに進められるので、なぜうまくいくのかを説明できないまま過ぎていきます。それに対して苦手な工程では、一つひとつの手順を確かめながら慎重に進めていくことになります。
確かめながら進める経験は、手順の意味を理解する力を育ててくれる、非常に濃い学びの時間になります。理解を伴って身につけた動きは崩れにくく、条件が変わったときにも応用が利くようになってくれます。
苦手な工程を持っている人は、同じところでつまずく人の気持ちを理解できるという強みも持ちます。将来だれかに教える立場へ回ったとき、この理解が確かな説明として役に立ってくれることになります。
苦手を克服した経験そのものが、次の壁に出会ったときの支えとして働いてくれるという面もあります。乗り越えたという実感を持っている人は、新しい工程に対しても落ち着いて構えられるようになります。
店の現場では、自分の苦手な工程だからといって避けて通ることが難しい場面が数多く生まれます。学校にいるうちに一通り触れておけば、働き始めてから困る場面をずいぶん減らすことができます。
苦手な工程に時間をかけた人は、仕上がりの安定という形で、後になって成果を受け取ることになります。得意な工程だけで組み立てられている仕事には、どうしても弱いつなぎ目が残ってしまうものです。
つまり避けたい気持ちの向こう側にこそ、長く効いてくる学びが置かれているという逆転が起きています。苦手な工程と過ごした時間の値打ちは、卒業してからのほうがはっきりと見えてくることになります。
苦手な工程と長く付き合っていくための方法
苦手な工程と付き合う第一歩は、どこが難しいのかを細かく分けて、正体を確かめることになります。工程の全体が苦手なのではなく、その中の一部分だけが引っかかっている場合がほとんどになります。
引っかかっている部分が分かったら、そこだけを取り出して繰り返す練習を組み立ててみましょう。全体を通して練習するよりも時間が短くて済むので、続けやすい形として取り組みやすくなります。
道具や姿勢を見直してみることも、体の条件から来る苦手をほどく手立てとして役に立ってくれます。握り方をひとつ変えるだけでも力の伝わり方が変わり、感じ方が大きく違ってくることがあります。
苦手な工程に取り組む日は、時間に余裕のある日を選ぶという工夫も確かな効き目を持っています。追われている状態では確かめながら進められないので、落ち着ける条件を整えることが先になります。
得意な人の手元を見せてもらう機会をつくると、自分との違いがはっきり見えて手がかりが増えます。言葉による説明よりも、動きを目で見るほうが早く理解できる部分も少なくないと言えるでしょう。
少しでもうまくいった日は、その感覚を必ず書き留めておくと、次に再現するための手がかりになります。うまくいかない記憶ばかりが積み重ならないよう、良かった日の記録を残す意味は大きいものです。
班の中では、苦手な工程にもあえて手を挙げるという選択を、意識して取っていきたいところです。任せたほうが早い場面であっても、自分で触れる機会を作らなければ苦手はそのまま残ってしまいます。
焦らずに続けることが最も大切で、苦手が得意へ変わるまでには相応の時間がかかると考えておきましょう。少しずつ距離を縮めていければ十分なので、続けられる形を選ぶことこそが何よりの近道になります。
まとめ
苦手な工程は才能の問題ではなく、触れた回数の少なさや失敗の記憶といった条件から作られていることがほとんどです。作られたものであるなら条件を変えていくことでほどいていけるので、必要以上に重く受け止める必要はありません。
避けたくなる工程ほど後から効いてくるのは、そこに手順の意味を確かめながら進める時間が詰まっているからです。理解を伴って身につけた動きは崩れにくいうえに、扱う条件が変わったときにも応用が利くようになってくれます。
苦手と向き合った経験は、同じところでつまずく人の気持ちを理解できるという、教える立場での強みにもつながります。乗り越えた実感そのものが次の壁に出会ったときの支えになるので、その値打ちは技術の面だけに留まりません。
付き合い方の要点は、難しい部分を細かく分けて正体を確かめ、そこだけを取り出して繰り返し練習することになります。道具や姿勢を見直すこと、余裕のある日を選ぶこと、良かった日の感覚を書き留めることも助けになってくれます。
製菓専門学校で苦手な工程と過ごした時間は、卒業してお菓子を作り続ける日々の中で静かに効いてくるものです。避けずに向き合った積み重ねこそが、どんな場面でも動けるパティシエとしての幅を作ってくれることになります。