焼く工程に向く人と飾りに向く人へ分かれていく製菓専門学校で得意が見つかる瞬間
実習を重ねるうちに得意が姿を見せ始める場面
製菓専門学校で実習を重ねていくと、あるとき自分の手が特定の工程で滑らかに動くと気づく瞬間があります。ほかの工程では戸惑っているのに、その場面だけは迷いなく進められるという違いが表れてきます。
得意が姿を見せ始めるのは、同じ課題を何度か繰り返した後の時期であることが多いと言われています。初めての工程では誰もが手探りになるため、慣れた後の差にこそ本来の向き不向きが表れてきます。
周囲から声をかけられて気づくという形も、得意を見つける入り口として少なくない割合を占めています。自分では当たり前にやっていた動作を褒められたとき、初めてそれが強みだと知る人も多くいます。
時間の感じ方の違いも、得意を見きわめる手がかりとして働いてくれる分かりやすい目印になります。夢中になって時間を忘れる工程があるなら、そこに自分の向いている方向が隠れている可能性があります。
評価が返ってきたときに、特定の工程だけ安定して良い結果が続くという形で気づく場合もあります。まぐれではなく繰り返し良い結果が出ているなら、それは確かな強みだと受け止めてよいでしょう。
苦手な工程と比べたときの疲れ方の差も、自分の傾向を知るうえで見逃せない手がかりになってくれます。同じ時間を過ごしていても消耗の度合いが違うのは、体との相性が現れている証だと考えられます。
班の中で自然に任される役割が偏ってくるのも、得意が周囲に伝わり始めた印だと言うことができます。頼まれる場面が増えてきたのなら、その工程でこそ自分の力が発揮されていると考えてよいでしょう。
得意に気づいた瞬間は、学びの向きが定まり始める大切な転機として、記憶に残り続けるものになります。この気づきをきっかけに、練習の組み立てや将来の考え方まで変わっていく人が少なくありません。
焼く工程に強い人と飾りに強い人という分かれ方
実習の中でよく見られる分かれ方のひとつが、焼く工程に強い人と飾りに強い人という向きの違いです。どちらも欠かせない力ですが、求められる感覚が違うため、得意の出方もはっきり分かれてきます。
焼く工程に強い人は、材料の状態や火の入り方を読む力に優れている場合が多いと言うことができます。目に見えにくい変化を捉える感覚が育っているため、判断の的確さが仕上がりの安定につながります。
飾りに強い人は、形と色の釣り合いを見る目と、細かな作業を続ける集中力に恵まれている傾向があります。全体をどう見せるのかという構えを持てるため、同じ品であっても印象を大きく変えることができます。
両者は対立するものではありませんが、練習に向ける時間の使い方は自然と違ってくることになります。焼く工程を磨く人は状態を見る回数を増やしていき、飾りを磨く人は手の細かさを鍛える形になります。
どちらが優れているという話ではなく、店の現場ではどちらの力も必要とされていることになります。役割を分け合いながら仕上げていくのが実際の仕事なので、得意の違いはむしろ強みになってくれます。
自分と違う得意を持つ人と組むと、思いつかなかった見方に触れられて、学びの幅が広がっていきます。焼き方に強い人と飾りに強い人が組めば、互いの弱いところを補い合うことができるようになります。
苦手だと感じていた工程が、実は経験の少なさから来ていただけだったという場合も少なくありません。向いていないと早々に決めつけてしまうと、伸びるはずの余地を自分で閉ざしてしまうことになります。
得意を知ることの値打ちは、進む道を狭めるためではなく、学び方の順序を選ぶために使える点にあります。強みを土台にしながら苦手な工程へ手を伸ばしていけば、無理なく力の幅を広げていくことができます。
見つけた得意を伸ばしながら苦手と組み合わせる
見つけた得意を伸ばす最初の一手は、その工程で何が起きているのかを言葉にしてみることになります。感覚だけで進めている動きを説明できるようになれば、いつでも同じ質で繰り返せるようになります。
得意な工程では、あえて条件を変えて試してみるという練習が、その力をさらに引き上げてくれます。材料や量を変えたとしても同じ結果を出せるようになれば、その強みは確かな技術へと育ってくれます。
苦手な工程については、得意な工程で身につけた考え方を、当てはめて取り組む方法が助けになります。状態を読む力や段取りの組み方は、扱う工程が違っていても共通して使える土台になってくれます。
苦手を放っておかないためには、練習の中に少しずつ組み込む形にしておくと、負担が軽くなります。まとめて取り組もうとすると気持ちが重くなるので、少量を続けるほうが結果として身につきます。
班の中では、得意な工程で貢献しながら、苦手な工程にも手を挙げるという姿勢が学びを深めます。得意な工程だけを担い続けると、卒業までに触れられない工程が残ってしまうことになりかねません。
自分と違う得意を持つ人の手元を見せてもらうと、取り入れられる工夫が数多く見つかることになります。頼んで見せてもらえる関係を作れるかどうかが、二年間の学びの厚みを変えていくことになります。
卒業に向けた作品を考える時期には、自分の得意を軸に据えて組み立てると、力を出しやすくなります。強みが生きる形を選んだうえで苦手な部分を補っておけば、無理のない挑戦として仕上げられます。
働き始めてからは、得意を持っていることが役割を任される足がかりとして働いてくれることになります。この分野なら任せられると言われるパティシエは、店の中で確かな居場所を得ていくことになります。
まとめ
実習を重ねていくと、特定の工程でだけ手が滑らかに動くという形で、自分の得意が姿を見せる瞬間が訪れます。周囲からの言葉、時間の感じ方、疲れ方の差といった手がかりに目を向けると、その気づきは早く訪れてくれます。
よく見られる分かれ方として、材料や火の入り方を読む力に優れた人と、形と色の釣り合いを見る目に優れた人がいます。どちらが上という話ではなく、店の現場ではその両方の力が等しく必要とされているという点が大切になります。
自分と違う得意を持つ人と組むことは、思いつかなかった見方に触れられる貴重な機会となって働いてくれます。互いの弱いところを補い合える関係を作れれば、二年間で受け取れる学びの厚みが確かに変わってくることになります。
得意を知ることの値打ちは、進む道を狭めることではなく、学び方の順序を選べるようになるという点にあります。強みを土台にして苦手へ手を伸ばしていけば、無理を重ねずに力の幅を広げていくことができるようになります。
製菓専門学校で見つけた得意は、卒業してお菓子を作り続ける日々の中で、確かな足がかりとなってくれるものです。この分野なら任せられると言われるパティシエになるための出発点が、実習台の上で訪れるその瞬間になります。