未来の料理人育成!調理師専門学校の魅力と選び方

実習で最初に習う所作を軽く見たまま製菓専門学校の二年間を過ごす人への注意点

実習の初日に手渡される所作という土台

製菓専門学校の実習で最初に教わるのは配合や飾りではなく、手を洗う順序や立つ位置といった所作の部分です。地味に思える内容ばかりですが、この土台がその後の作業の速さと安全を、静かに支えることになります。

手洗いの手順は驚くほど細かく決められており、指の間や手首まで含めて、決められた順に洗うよう指導されます。食べる人の口に入るものを扱う以上、この工程だけは省いてはならないと繰り返し伝えられていきます。

髪をまとめる形や爪の長さについても、初日のうちにはっきりとした基準が、全員に向けて示されることになります。見た目を整えるための決まりではなく、異物を混ぜないための備えだと理解すると納得しやすくなります。

道具の持ち方も所作のひとつで、刃物や熱い器具を手渡す向きまで、はじめの段階で丁寧に教わることになります。渡す側と受け取る側の動きがそろっていれば、狭い実習台の上でも危ない場面を減らすことができます。

実習台のどこに立つかという位置取りも、意外なほど重要な約束事として扱われている部分だと言えるでしょう。人の背後を通るときに声をかける習慣は、火や刃物を扱う場でこそ意味を持つ大切な所作になります。

作業を始める前と終えた後に台をふく動きも、最初の実習で覚える所作として位置づけられているものです。台の上が整っていれば材料の取り違えが減るため、結果として作業の速さにもつながっていきます。

声を出す所作も忘れてはならず、熱いものを運ぶときや火を使うときには、周囲へ短く伝えるよう教わります。声をかけ合う習慣のある班は事故が起きにくく、作業の流れも自然と滑らかになっていくものです。

これらの所作はどれも、パティシエとして働く現場でそのまま求められるものばかりだと言ってよいでしょう。学校の中だけで通じる決まりごとではないと分かってくると、所作を覚えようとする気持ちの入り方も変わってきます。

所作をおろそかにしたときに実習台で起きること

所作を軽く見たまま進んでいくと、まず現れるのは作業の遅れという、目に見える形での不都合になります。道具の置き場が定まらない人は探す時間が積み重なり、決められた時間内に終えられなくなってしまいます。

手洗いや服装の確認を省いた状態では、そもそも実習台に立てないという扱いになる場面も出てきます。せっかく準備してきた工程に入れないまま時間が過ぎるのは、本人にとって大きな痛手になってしまいます。

器具の受け渡しをおろそかにすると、指を切ったり火傷をしたりする危険が、確実に高まっていくことになります。小さな怪我でもその後の実習に響いてしまうため、はじめの段取りを守る意味は決して小さくありません。

台をふかないまま作業を続けた場合、こぼれた材料が別の生地に混ざるという事故が起きやすくなってしまいます。混ざった材料は見た目では気づきにくいので、後から味が違うと気づいても手遅れになりがちです。

班の中で一人だけ所作が乱れていると、周りの人が代わりに片づけへ回ることになってしまう場面も出てきます。本人に悪気がなくても負担の偏りは伝わるため、班の雰囲気がぎくしゃくする原因になりかねません。

仕上がりのばらつきも、所作の乱れから生まれていることが少なくないという点は覚えておきたいところです。計る位置や混ぜる向きが毎回のように違っていれば、同じ手順で作ったとしても結果はそろわなくなってしまいます。

評価の場面でも所作は見られており、出来上がったお菓子だけで点がつくわけではないと知っておく必要があります。作業の途中の動きや後片づけまで含めて見られるため、日ごろの積み重ねがそのまま表れてきます。

実習先や就職先へ出たときにも、所作の乱れはすぐに気づかれてしまうものだと考えておくべきでしょう。技術は後から伸ばせますが、基本の動きが崩れている人は任される仕事の幅が広がりにくくなります。

身につくまで所作を繰り返すための工夫

所作を身につける近道は、意識しなくてもできる状態まで、同じ動きを繰り返して体へ覚え込ませることです。頭で考えている段階では手が止まってしまうため、繰り返しによって迷いを減らしていく必要があります。

実習が始まる前の数分を使い、道具の置き場と動線を頭の中でたどっておくと、当日の動きが整いやすくなります。あらかじめ順序を思い描いておけば、慌てて手を伸ばして物を落とすような場面も減っていきます。

自分の癖に気づくためには、同じ班の人に動きを見てもらうという方法が、思いのほか役に立ってくれます。人から指摘される癖は自分では見えていないことが多いので、素直に受け取る姿勢が上達を早めてくれます。

注意を受けた内容をその日のうちに書き留めておくと、同じ指摘を繰り返す回数がはっきりと減っていきます。書いた内容を次の実習が始まる前に読み返す習慣まで作っておけば、身についていく速さがさらに変わってきます。

家の台所でも所作は練習できるもので、洗い物の順序や道具の置き方を、学校で習った形にそろえてみる方法があります。暮らしの中で同じ動きを繰り返しておけば、実習の場に立ったときにも自然と手が動くようになっていきます。

疲れている日ほど所作は崩れやすいため、体調を整えることも技術を守るための備えとして考えておきたい部分です。睡眠と食事の調子が乱れてくると集中が続かなくなり、普段であればしないような取り違えが起きやすくなります。

所作が身についてくると、余った意識を味や見た目の工夫へ向けられるようになり、学びの幅が広がっていきます。手順に追われている間は気づけなかった変化にも、目が届くようになってくるという実感が得られます。

上達した人ほど基本の動きを大切にしているという事実は、学びを続けるうえで励みになる考え方だと言えます。難しい工程に進んだときこそ土台が効いてくるため、最初に習う所作は最後まで価値を持ち続けます。

まとめ

実習で最初に習う所作は、単なる形式ではなく、安全と衛生と手際のすべてを支えている土台だと言い切れます。この部分を軽く見たまま学びを進めてしまうと、後になってから技術の伸びが頭打ちになる場面が必ず訪れてきます。

所作の乱れは作業の遅れや怪我、仕上がりのばらつきといった形で、目に見えるところへ確実に表れてくるものです。逆に言えば所作を整えていくだけで、実習の場で起きるこれらの困りごとの多くは、静かに減っていってくれます。

身につけるための方法は特別なものではなく、同じ動きを繰り返し、指摘を書き留め、翌日に見直すことに尽きます。ずいぶん地道な積み重ねのように思えますが、この繰り返しこそが所作を確かなものへ変えていく唯一の道になります。

所作が体になじんでくると意識のうえで余裕が生まれ、味や飾りの工夫のほうへ気持ちを向けられるようになります。学びの楽しさがはっきりと増していくのはこの段階からなので、早いうちに土台を固めておく値打ちは十分にあります。

製菓専門学校で学ぶ日々は、お菓子を形にする技術と所作を、同時に育てていく時間として組み立てられています。将来パティシエとして現場に立つ日に効いてくるのは、最初の実習で受け取ったこの基本の動きそのものになります。